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デジタルマーケティングを武器に流通・小売業界のサービスデザインに挑む

Eコマースやキャッシュレス決済など、世の中のあらゆるシーンでデジタルシフトが進む昨今。様々なビジネス領域で「デジタル」は重要なキーワードになっています。2019年4月に設立されたSDDX事業部は、社会・市場変革を創って伸ばすことに専門特化した新進気鋭の組織です。流通・小売といったリテール業界を中心に、前例に捉われないアイデアによるDXで新たなビジネスの創造に取り組んでいます。お客様と社会に対して、彼らが目指す提供価値とは?事業部長の内山尚幸のインタビューから紐解きます。

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次の社会を見据え、自分たち起点で新ビジネスを創造

これまでシステムインテグレーションを主としてきたNTTデータのなかで、ビジネス変革の専門部隊として2019年4月に新設されたSDDX事業部では、現在約140名のメンバーが活躍しています。彼らが挑戦しているのは、自らを「DX実行プレイヤー」へと変革することだと、内山は言います。

社会をアップデートするDXにしても、ビジネスを加速させるデジタルマーケティングにしても、当社にとってまったく新しい領域。ある意味、NTTデータらしくないことに一生懸命取り組むのが我々の特徴であり、事業ミッションと言えます。

例えば、他の事業部は担当するお客様と会話をして、課題や要望をもとにアイデアを膨らませていくのが基本です。一方、私たちの場合はお客様起点ではなく、まず初めに社会の変化や世界のトレンドありき。

さまざまな情報をもとに“これからの世の中”を想像し、『そこで必要とされるビジネスのあり方とは?』と、『どう種を植えてどうグロースできるのか?』を掛け合わせてアイデアを練っていきます。

そして、リテール業界のお取引先に『これをやるべきではないでしょうか』と想いをぶつけ、呼応していただいたお客様と新たな市場や成長源泉を創り上げていくわけです。

事業・業務・ITを切り分けるのではなく、「事業×業務×IT」と一気通貫の発想でお客様のビジネスそのものをリエンジニアリングする。それがSDDX事業部の基本スタンスです。実際、新ビジネスの戦略構想・立案といったコンサルティングから、先進技術を活用したシステム開発・ソリューション提供、そしてマーケティング等の業務オペレーション変革まで、フロントエンド/バックエンドを総合的に手掛けています。
こうした取り組みでは、NTTデータが保有する豊富なアセットを活用しています。CRM(顧客管理)領域では、次世代型ポイント・顧客管理SaaS「CAFIS Explorer®や、顧客データを一元化管理できる「Salesforce Marketing Cloudなどのソリューションがあり、トレンドディスカバリーやカスタマージャーニー設計には、Twitterのリアルタイム全量ツイートデータの活用が可能です。

さらに、SIで培ってきた開発力やシステムを評価分析するノウハウといった技術軸の強み、顧客との信頼関係も独自の強みになっています。ただし内山はこうしたアセットをただ活かすのではなく、発想の転換が重要だと考えています。

これまでのシステム開発のプロジェクトは、お客様や社会にとって必要な武器をつくり、納品することがゴールでした。しかし、市場やビジネスを創るとなると、むしろ納品してからが本当のスタートです。

創出した武器を駆使して、いかにお客様と一緒にビジネスを広げ、社会を変えていくのか。それこそが期待成果になってきます。ですから、二人三脚で創り上げる、盛り上げるという姿勢が欠かせないですね。

ウォークスルー店舗「Catch&Go™」に込められたコンセプトとは

現在、SDDX事業部は「新たな成長源泉の創出による社会のアップデート」を事業ドメインに掲げ、「生活者とクライアント企業の長期的なエンゲージメント構築」を切り口に、デジタルで顧客接点領域を高度化し、新たな購買体験の提供を目指しています。そして、そこで蓄積されたデータをもとに生活者インサイトの深い理解から、生活者一人ひとりとの最適なコミュケーションの実現を図っています。

この取り組みを体現した事例が、2021年9月にダイエー様との協業によって誕生したウォークスルー店舗「Catch&Go®」です。

豊洲のNTTデータ本社内にオープンしたこの店舗は、スマートフォンアプリ、店舗設置のカメラ、商品棚の重量センサー、AIシステムなどを連動することで、「無人」「レジ精算不要」を実現。利用者は欲しい商品を手に取り、退店するだけで自動的にオンライン決済が完了します。

さらに、同店舗はダイエー様の基幹システムとも繋がっており、商品の発注・補充や入荷時の処理、物流の最適化など、業務オペレーションの効率化を検証する場にもなっています。

Catch&Go®』は表面的に見れば、海外の先行事例を日本に持ってきただけ、と捉えられるかもしれません。しかし、その裏側には全く違う世界があるのです。我々の構想は、『いま日本や世界中にまだ存在しない店舗フォーマットを創ろう』というところから始まっているんですよ。

世の中の成熟度が高まる中、今後リテールが事業成長するためには画一的な店舗ではなく、より地域やマーケットに合った特色あるお店作りが問われます。都心では地価も高騰していますから、一坪サイズのお店も必要になるかもしれない。それに人手不足やフードロス対策など、社会問題の解決も考えるべきです。

そうやっていくつものアイデアを検討した結果、形になったのが『レジ無し店舗』でした。もちろん、店舗フォーマットそのものを刷新する以上、業務オペレーションも一から考え直す必要があります。このように事業と業務とITを一括りにしてグランドデザインを行うことから、私たちの仕事は始まるのです。

こうしたサービスは、働き手不足やレジの混雑解消に役立つのはもちろん、コロナ禍による非対面・非接触のニーズ向上にもマッチしており、まさに時代を捉えたデジタルマーケティングと言えます。しかし、SDDX事業部は現状に満足せず、さらなる前進を図っています。

コロナで消費者や企業の変化は間違いなく進んでおり、私たちの発想も変わっていかなければいけません。

私たちがこれまで取り組んできた購買体験の変化ですとか、顧客行動データの詳細な収集・分析、あるいはOne to Oneマーケティングというのは、もう業界のバズワードになっていますよね。その一方で、実情を見るとそれを実践できている企業は決して多くないわけです。

このギャップをどう解釈するのか。いかにお客様の成果に結びつけ、社会を改善していくのか。思考をバズワードで止めることなく、起こりうる未来を予測して解決プランを見出し、具体的に実行することこそ、我々が全力でやらなければいけないことだと思っています。

想いがなければ、社会を変えるアイデアは生まれない

DXとデジタルマーケティングで、お客様と世の中に変革を生む―。社員ひとり一人の強い信念を実行につなげるために、SDDX事業部ではオープンマインドなカルチャーづくりにも注力しています。

役職、年齢、経験に捉われず、価値あるアイデアはビジネス化を検討。先述の「Catch&Go®」に加えて、デジタルサイネージとアバターを活用した「遠隔アバター接客」といったソリューションも、すべては「現場発のアイデア」だと内山は語ります。

私が驚くようなアイデアもよく出てきますよ(笑)。もちろんすべてにゴーサインは出せないので、きちんと変革を起こせる代物なのか、という見極めにはこだわっています。

それに社会を変えるためには、独りよがりのアイデアではダメでWow!とか、面白そう!とか、周囲を巻き込むような魅力がにじみ出てこない限りは、社会を変えるものにはなりえません。

そういった点やビジネスの実現性というのも含めて、最近は社内だけで意思決定せずに、社外の有識者の方にも判断に加わっていただいています。私たちは無意識のうちにシステム寄りの発想になってしまうので、第三者の意見も大事にしていますね。

また、事業部独自の取り組みとしてオウンドメディア「デジマイズム」を運用し、対外的な情報発信やブランディング、メディア管理のノウハウ獲得に加え、活躍する社員を積極的に取り上げることで、本人のモチベーションアップにも繋げています。

新しいことをお客様に提案して共感していただくには、『事実』と『解釈』と『ソリューション』が3本セットでなければいけません。

このうち事実は誰しも共通ですが、解釈とソリューションは人それぞれ。それが合っている・間違っているではなくて、多様性に富んだ発想を集めるためには、事実から未来を予測し、それを一人ひとりがどう解釈し、何を考えたのかが大事になります。

そういった意識付けの面でも、『デジマイズム』という場を有効活用して、社員ひとり一人の解釈や発想について発信してもらうようにしていますね。

社会変革や新たな市場の創出というシナリオに基づいてアイデアを出すことは、決して簡単ではありません。既存の社員はもちろん、今後入社してくる未来の仲間にも、ITや事業について広範囲の知識と高い専門性が問われます。そして、それ以上に内山は「世の中を変えるんだ、という熱意」が何よりも重要だと考えています。

この想いがないと「言う」と「やる」をセットで実現できません。システムだけでなく、ビジネスそのものを創りたい、業界の事業変革を生み出したい、お客様と一緒に成果や成功を分かち合いたい。そういった意思を持った方と出会いたいですね。

我々の部署では、大企業の強みとスタートアップの良さを兼ね備えたプロジェクトが待っています。成長の機会は私が責任を持って作りますし、尖った技術を持ったベンチャー企業とのコラボも積極的に行いますので、多彩な経験が積めるはず。ですから、ビジネスを創りたい方はぜひ飛び込んできてください。

※掲載記事の内容は、取材当時のものです